岡Bのお役立ちブログ:バランスシリンダ編
以前の岡Bブログで、サーボエラー 【過負荷】 50/51(GOT画面 2050/2051 )に関して
お客さまでも確認できるメカ的な負荷についてご紹介しました。
(前回記事 → 岡Bのお役立ちブログ:サーボ過負荷異常編 )
今回はその中でも日常的に起こり得る”テーブルバランス圧”についてより深くお話ししたいと思います。
特にバランス圧を下げるときは単純にレギュレータのハンドルを回すだけでなく,いくつかの手順を踏む必要がありますので
その辺りについても今回の記事で詳しくご紹介していきます。
そもそもバランスシリンダって?
バランスシリンダの役割には大きく分けて2つあります。
1つ目は機械の運動に必要な力をサポートすることです。
例えばサーボモータで推力を得る場合,動かしたいものが大きくなればなるほど
容量の大きな(=高価な)サーボモータが必要になります。
そこでバランスシリンダに一部の推力を担ってもらうことでサーボモータへの負担を減らすことで
結果的にサーボモータの容量を抑え,コストの抑制に繋がるのです。
2つ目の役割は全体のバランスをとることです。
右の図のようにバランスシリンダが存在しない場合,機械の中心から力が発揮されるような構造であっても左右の摩擦抵抗の違いや重量の微細な違いなど様々な要因でフラフラとした動作になる恐れがあります。
このフラつきを抑えるためにバランスシリンダが効果を発揮するのです。
バランスシリンダによって力の発揮される点が増えることにより,またシリンダ内のエアがダンパーの役割を果たすことにより左右のバランスが取れるようになり安定した運動が可能となります。
バランス圧を下げる方法
ここまでバランスシリンダの出力が機械にとって重要な役割を持っていることをご紹介しました。
しかし,バランスシリンダの出力が強すぎる(=バランス圧が高すぎる)と逆に動作の邪魔をしてしまいサーボエラー(過負荷)となる場合がよくあります。
この場合,バランス圧を下げれば解決できるのですが、エア消費量削減のためノンリリーフレギュレータを採用しており,レギュレータの調整だけでは圧力を下げることが出来ません。
レギュレータの調整と同時にバランスタンクからエアを抜く作業をする必要があります。

リリーフタイプのレギュレータを使用すると,熱板:180L/min トリム機:2100L/min以上のエアが消費されます。
(1サイクル6sec,1ショット6回抜き,バランス圧0.35MPaで計算)
このエアー消費を抑えるためにトーコーではバランスシリンダにノンリリーフタイプのレギュレータを採用しております。
それではバランスタンクからエアを抜く方法をご紹介します。
①安全のために圧盤を下げた状態にします。可能であれば電源も落とします。
②バランスタンクに設置しているドレンコックを開きバランスエアを抜きます。
この時ゆっくりと抜くようにコックの開きを調整してください。
③バランスエア圧用レギュレータのハンドルを圧力を下げる方向に回します(左回転)。
④設定したい圧力よりも十分にエア圧が下がったことが確認できればドレンコックを閉じます。
exp.)設定値を0.4MPaにしたい場合,0.35MPa以下まで下げる。
⑤バランスエア圧用レギュレータのハンドルを圧力を上げる方向に回します(右回転)。
設定したい圧力になったところでレギュレータのハンドルをロックします。
⑥手動操作でテーブルを上限まで上昇させ,その後下限まで下降させます。
この時⑤で設定した圧力よりも高い数値になっていると思いますが,この値が実際の設定圧力です。
⑦自動運転を行いGOT画面内のサーボ負荷率を見ながら低い負荷率で稼働できていれば完了となります。
※負荷率目安は30~50%の間
最後に
以上でバランスシリンダの理解が深まったでしょうか?
偉そうにいいつつ、私も十分に理解できているとは言えないプロ仕様な部分です。
トーコーの機械の中でも重要な役割を果たしている部品ですので、少しの不良が生産に、精度に、しいては機械寿命にも直結してきます。
こまめにエラーチェックとそれに伴う調整をお願いしたいと思います。
たまには岡Bも真面目な話するんだぞ、ということで。。
今回は真面目に、お役立ちブログをお届けしました。
不安な箇所、わかりにくいことがあれば、いつでもご連絡ください。
フットワークの軽さが自慢の岡Bが、いつでもどこでも、手取り足取りレクチャーいたします!!